宇宙兄弟に学ぶ7つの習慣(第3の習慣:最優先事項を優先する)

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第3の習慣は、第1の習慣:主体的である、第2の習慣:終わりを思い描くことから考える、で身につけたことを実践し、個人的な結果を得るための習慣です。すなわち、インサイド・アウトの考えを前提とし、外部からの刺激に対して自覚を持って客観的に自身の反応を「選択」し、自身のコントロールの及ぶところに意識を集中する。そして、自分が出したい成果をリアルに思い描き、その成果を出すために全力を尽くすことです。

私たちをとりまくさまざまな事象、仕事、家庭、学校、地域、友人関係などを挙げると、それぞれで自分が出したい成果をリアルに描いて全力を出したいところですが、人間に与えられたのは等しく1日24時間。全てに全力を出してしまうと心と体を壊しかねません。そこで、最優先となることに全力を傾けようというのが第3の習慣です。

第Ⅱ領域

最優先となることをどのように判断するかは、時間管理のマトリックスで判断します。具体的には、重要度と緊急度で以下のようにマトリックスを作ります。

 緊急緊急ではない
重要第Ⅰ領域
  • 危機への対応
  • 差し迫った問題
  • 期限ある仕事

第Ⅱ領域

  • 予防
  • 人間関係づくり
  • 新しい機会を見つけること
  • 心身をリラックスさせること
重要ではない

第Ⅲ領域

  • 飛び込みの用事
  • 多くのメールや報告事項
  • 無意味な接待や付き合い

第Ⅳ領域

  • 取るに足らない用事
  • 雑用
  • 暇つぶし

他のビジネス書でもよく書かれていることなので「何だまた同じことか」と思われるかもしれません。上のマトリックスの「第Ⅱ領域」に集中しましょう、というのが第3の習慣の最も伝えたい内容です。しかし、巷によくあるビジネスでも書かれてあることをなぜわざわざ第3の習慣に持ってきているか、という部分に7つの習慣が他のビジネス書・自己啓発書と全く違う重要な点があります。

緊急度は、時間という客観的な尺度で見て判断がしやすい内容です。ですから、緊急か、緊急でないかの振り分けは比較的容易に行なえます。問題は、重要度です。なぜなら、重要かどうかは、その人それぞれのもつ「考え」によって変わるからです。

そして、この「考え」こそ、第1の習慣と第2の習慣が理解できていることを前提とした、本書で言う「原則」なのです。

原則については、第2の習慣のところで触れていますので、よくわからない方はそちらをご覧になってください。原則は行動の結果(アウトプット、成果)を支配します。私自身は、原則を「”良い結果を導く”自然の摂理」と解釈していますが、もっと良い表現があるかもしれません。原則は、常に考え、追い求め続けていくものであるとも思っています。

第Ⅱ領域に集中しましょうというのは簡単です。そして緊急度も客観的な指標ですから、決めるのは比較的簡単です。しかし、第1の習慣と第2の習慣を理解し、原則について深く考え続けていないと真の重要度を決めることはできません。だから、第Ⅱ領域に集中することがわざわざ第3の習慣として説明されているわけなんですね。

本書では第Ⅱ領域に自分の身を置くために重要な6つの基準が記されています。ここでは、その中でも私が最も重要だと考える1つをご紹介します。

「スケジュールに優先順位をつけることではなく、優先すべきことをスケジュールする」

どういうことかというと、人間生活を送っていると「やりたいこと、やるべきこと」などが目の前にうず高く積み上がります(この中にはもちろん、休息も入ります)。それら全てに優先順位をつけていては、原則に基づいた自身にとって本当に優先度の高いものを見失ってしまいます。だから、最初に原則に基づいた優先順位と優先すべきことに的を絞って(第Ⅱ領域にやることを絞り込む)、そのうえで優先順位をつけましょう、ということですね。

第四世代の時間管理

第Ⅱ領域に自分の身を置くためには、原則に基づいた優先順位が必要であると説明しました。では、その優先順位を立てるために必要なものは一体何なのでしょうか?

本書では、時間管理の第一~第四世代という時間管理の方法を使って説明しています。

  • 時間管理の第一世代
    時間管理の第一世代は、ただのタスクの羅列です。上記した、やるべきことが目の前に高く積み上がっている状態を指します。ここで役に立つのはせいぜいToDoリストぐらいで、優先順位付けもなく闇雲に目の前にあるものを片っ端から片付けていく方法が取られます。本書では、多くの人がこの時間管理の第一世代で自分をマネジメントしていると説明しています。なぜなら、全てをやるべきことであると捉えるならば、何も考えずに処理をしていけばいいだけなので、ある意味ラクだからです(コヴィー博士は、基本的には性善説煮立っていますが、人間はある意味弱い生き物であるという観点にも立っていると考えられます)。当然、この時間管理をしていると自分が何のために生きているのかわからなくなり、精神的にも体力的にも疲弊する一方です。そこで、次の世代が登場します。
  • 時間管理の第二世代
    時間管理の第二世代は、時間管理の第一世代にスケジュールが付加されます。ただし、このスケジュールは優先順位に従ったものではなく、どちらかというと、降ってきたもの順にいつやるかを並べただけのものです。したがって、この世代の時間管理もほとんど第一世代と同様で、ただスケジュールを守ることだけが目的化してしまい、私達を疲弊させてしまいます。
  • 時間管理の第三世代
    この世代になると大きく一歩前進します。第二世代に加えて優先順位の概念が入ってきます。そのため、優先順位を立てる自分なりの根拠が明確になります(本書では価値観が明確になると書いてあります)。そして、毎日スケジュールを立てて活動の優先順位を決めます。現在の時間管理のテクニックはこの第三世代が中心になっているようです。たしかに、一読すると、根拠のある優先度をつけてスケジュールを立てているので、これこそ第Ⅱ領域の時間管理だと思ってしまいます。しかし、この世代の時間管理は以下2つの点で欠点があります。
    • 今に集中しすぎているので、長期的目線が抜け落ちる
    • 現実を無視してスケジュールを詰め込みがちであり、ストレスが溜まる
  • 時間管理の第四世代
    そこで、第四世代の時間管理では、第一~第三世代までを前提として、以下のパラダイムを重視します。
    • 人間関係を重視する(効率だけを重視するのが第三世代まで)
    • 一貫性を重視する(ビジョンとミッション、役割と目標、優先順位と計画、自分の望みと自制心に食い違いがなく、調和と結束、誠実さがあること)

読んでおわかりいただいたと思いますが、第Ⅱ領域に身を置くためには、第四世代の時間管理が必要になってくるのです(第Ⅱやら第四やら、ローマ数字なのか漢数字なのかややこしいですが・・・)。

第Ⅱ領域に身を置くためには、原則に基づいた重要度に基づいて優先順付をしなければならないと説明しました。時間管理の第四世代は、その優先付の際には自身の奥底にある自分本来の気持ちと原則を軸に、一貫性をもたせる必要があるということを示しています。第1の習慣の言葉を借りるなら、自分自身の主体性と一貫した優先順位でないといけないということです。なぜなら、そうでないと、軸がぶれて自分の人生を生きることができなくなってしまうからです。

デリゲーション

ここで、第Ⅱ領域に入った上でさらに必要な概念「デリゲーション」について説明します。デリゲーションは、誤解を恐れずに言うと「他の人をマネジメントして成果を出す方法」です。なぜここでデリゲーションが出てくるかというと、第1~第3の習慣の目的は、私的成功であり、自身の成功のためには優先順位をつけることに加えて、「どのように実行して成果を出すか」がさらに重要だからです。自分ひとりで優先順位の高い仕事をこなして成果を出すことは「自分が頑張ればなんとかなる」のである意味簡単なのです。他の人をして成果を出すことこそが、さらに高い成果を出すことにつながるのです(一橋大学名誉教授の伊丹敬之先生の言葉を拝借)。

デリゲーションには以下の2つがあります。

  1. 使い走りのデリゲーション
    簡単に言うと、細かく命令を下し、手取り足取り指示をするやり方です
  2. 全面的なデリゲーション
    使い走りのデリゲーションとは違い、細かいやり方は他の人の裁量に任せ、結果を最も重視するやり方です

私たちは、人に何かをお願いするとき、ついつい細かく指示してしまい、使い走りのデリゲーションになりがちです。しかし、使い走りのデリゲーションは結果を重視していないので、期待した結果は出ません。

一方、全面的なデリゲーションは手段ではなく結果を重視します。結果を重視すると書くと、「結果だけ見ればいいんでしょ」と安易な解釈をしてしまう方が必ずいらっしゃるので注記しておきますが、あくまで「最も重視する」のであって、手段を無視するわけではありません。結果だけ見るデリゲーションは、私が勝手に名付けますが「丸投げデリゲーション」です。仕事を任せられた人は、「自分ができないからこっちにぶん投げられた」としか感じず、勝手なやり方で進めて結果も出さないことでしょう。全面的なデリゲーションが難しいのは、「絶対的に相手を信じ続ける心」が必要だからです(丸投げデリゲーションは相手を信じていませんよね)。スポーツに例えるなら、球技のパスによく似ています。ゴールという成果を出すために、仲間を信じているからこそパスをだして、自分ができないフィールドを突破してもらうのです。

こいつに命を預けられるか?

第Ⅱ領域に入るための優先順位付けは、ある意味第1の習慣と第2の習慣を実践し、応用することで行なえます。今回は、その上で必要な、高い成果を挙げるためのデリゲーションについて宇宙兄弟を題材に学んでいきましょう。

第2の習慣ではNEEMO訓練の際に今自分ができることに集中しようとムッタが決意したシーンを用いて、影響の輪が広がったということを説明しました。

今回はちょっと物語を宇宙飛行士選抜試験のときまでさかのぼります。

JAXAの宇宙飛行士選抜試験で、ムッタたちは月面基地のような狭い閉鎖環境の中で2週間一緒に過ごすという経験をします。JAXAからの司令は、「2週間後、皆さんの中から2名の宇宙飛行士候補生を選んでください」だけでした。選抜の方法などは何も指示されません。

ムッタたちにはJAXAから与えられる課題を毎日こなすことが課せられました。課題の成績によって宇宙飛行士が選抜されるかどうかは全くわかりません。

そして、次々に起こる不可解なトラブル・・・。

実はこのトラブルは、JAXA側がムッタたち候補生の一人ひとりに指示を出してわざと発生させたものでした。なぜこういう事をやったかというと、宇宙という極限環境下では不測の事態が起こるのはむしろ日常茶飯事だから、その不測の事態にどのように対処するかを観るためです。

そして、この閉鎖環境の試験を経てヒューストンのNASAでも、どれだけ仲間を信じていられるかを見られる一幕がありました。

ダミーの面接試験のあとに行われるBBQパーティーで、先輩宇宙飛行士から、他の宇宙飛行士のことをどれだけ知っているかそれとなく聞かれるのです。

「全面的なデリゲーションで結果責任を負ってもらう」という表現より「こいつに命をあずけることができるか?」という問いは、最も「仲間を信頼しているかどうか」を端的に表していると思います。

今回は、第Ⅱ領域に重点を置くために、原則にしたがって優先順位を決めて、その優先順位に基づいて物事をこなすこと。そして、その際には全面的なデリゲーションを行うこと。これらについて説明をしました。

これで、第1の習慣~第3の習慣まで終わり、「私的成功」のパートは終わりとなります。いかがですか?スッキリ理解できましたか?

おそらくモヤモヤ感がすごく溜まっていると思います。なぜなら、このモヤモヤ感があるからこそもっと深く探求して理解したいと思い、応用して身につけたいと考えることができるからです。

私もこのように偉そうに書いていますが、実践できているかというとできていない部分も多々あります。

もっと言うなら、著者のコヴィー博士自身も、実践中であるという内容もあるのです。ですから、本書は考えるための材料であり、読者一人ひとりが自分ごととして捉えて学習をし続けることが重要なのです。

では、次回は第4の習慣についてまた宇宙兄弟を使って説明をしていきたいと思います。

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