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働き方改革関連法案が施行され、法的にも残業規制が行われるようになりました。これで長時間労働に対しては表向きにはメスが入ったことになります。そして国がその先に目指すのは働き方改革でもたらされる生産性の向上なのですが・・・ちょっと勘違いしちゃってるエライ人たちもいるようです。
日本の現状
生産性云々の前に、現在の日本が置かれている状況をおさらいしておきましょう。下の図を御覧ください。
日本は1996年ごろに生産年齢人口(要は働く人たちの人口)が減衰し始めました。そして、医療の発展も相まって老年人口がどんどん増加しています。このような社会を人口オーナスな社会といい、一度人口オーナスに入ると二度ともとに戻ることはないと言われています。
加えて、団塊の世代が一挙に70歳代に突入をしています。大介護時代の到来です。現在20代~40代でバリバリと働いている人達からすると、日本社会はこのように映るでしょう。
- 自分たちが働いて収めた年金を膨大な数の(まだ元気な)高齢者が食いつぶす社会
- 子育てをしながら親の介護をしなければならず、会社以外で過酷な労働が待っている社会
しかし、次の図をご覧ください。
こちらの図からもわかるとおり、日本は先進国中で労働生産性が再開をずっと更新し続けているのです。しかも、週49時間以上の就業者比率は日本がトップです。
つまり、日本人は世界から見ると「ダラダラ働いて成果を出せない」国民なのです。
そういわれても、自分たちは一生懸命働いているぞ、といいたい気持ちもわかります。しかし、これが現実なのです。一生懸命働くのではなく、「ラクして成果を出す」働き方に変えていかなければいけません。
バッドサイクルからグッドサイクルへ
しかし、簡単にラクして成果を出す働き方に変えよと言われても、どうすればよいのかわからないでしょう。私は、成果を出す鍵は上司と部下との関係にあると考えています。そこで次の図をご覧ください。
左が、上司と部下との信頼関係が弱い場合の仕事の回り方、右は、上司と部下との信頼関係が強い場合の仕事の回り方です。上司と部下との信頼関係だけで、成果の上がりやすさに大きな違いが出るのがおわかりになるかと思います。
生産性向上は目的ではなく結果
日本社会を取り巻く環境は厳しく、日本人は国際的にも「ダラダラ働いて成果を出せない連中」と思われてしまっています。しかし、上司と部下との関係を見直すだけで、ラクして成果を出せる働き方は実現できるというのが私の主張です。
そこで、冒頭の「生産性向上」に話を戻します。上司と部下の関係性や職場環境を無視し、「生産性を上げる」ことを目的やKPIにされたらその組織はどうなるでしょうか?予想されるのは以下のような事象です。
- 部下が言われたことしかやらなくなる(自主的にやる仕事は無駄だから)
- 上司に負荷が集中する
- 上司、部下とも自ら改善しようとしないので士気が下がる
- 仕事にやりがいを見いだせなくなる
- 当然成果も出なくなる
- 生産性が落ちる
このような流れで、生産性を追求した結果、生産性は落ちていってしまうのです。そうとはしらず、テレビのコメンテーターや書籍ではやれ「生産性を上げろ」と声高に謳われていますが、はっきりいいます。
それ、まちがってますから。
逆説的ですが、生産性の向上を目指すのであれば生産性の向上を目的にしてはいけません。上司と部下との関係性の向上からはじめ、仕事のやりがいの追求そして効率化を経た結果として、生産性が向上するのです。
間違った認識は改めましょう。
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