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中小企業診断士に合格して7年がたちます。最近は書籍の執筆や中小企業向け教育コンテンツの作成などのプロジェクトは年に1回程度になりましたが、合格した直後は様々な活動にリーダーとして参画をしていました。執筆では予想発行部数を大きく超えましたし、教育コンテンツでは多くの中小企業さんに満足いただいていると聞いています。
これらのプロジェクトの多くは、普段顔をなかなか合わせる時間のないメンバーとリモート作業で進めていくものでした。働き方改革が叫ばれている今、顔を合わせないメンバーのマネジメントの方法としても役立つと思いますのでこちらに書いておこうと思います。
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リーダーが最初にビジョンを掲げ末端まで伝えきる
それぞれの活動の中で私が一貫して持っていた目標があります。それは「個々人がリーダーシップを持って動いてもらえるようにすること」です。
その理由は、
- 自分自身が新しいリーダーシップの型を身につける必要があったため
- ボトムアップ型リーダーシップを体験することでその難所を体験すること
の2つです。
統率型リーダーシップの限界について耳にすることは多いものの、その実例はあまり聞いたことがありません。そして、限界があるのであればボトムアップ型リーダーシップを実践する必要があるのですが、今までやったことがないためその難しさを体感しておいたほうが良いだろうと考えたからです。
実際やってみてどうだったか?
目標の達成度としては、五分五分だったと思います。その理由は下記の2点です
- 書籍執筆ではメンバーの脱落もなく過去最高の売上を達成したこと。
2012年1月から6月までかけて書籍の執筆に取り組み、7月以降は販促セミナーなども実施した出版プロジェクトでは、幸いにして過去最高の売上を達成しました。メンバーの脱落もなく、メンバーそれぞれがプロジェクトを楽しむことができたと実感しました。 - 研究会運営では、チームメンバーの中で動いている人とそうでない人の差が激しかったこと。
40名程度で組織された研究会の運営では、5つほどのサブチームに分けて活動を行いました。こちらは、チーム内メンバーで活発な動きをする方とそうでない方の差が激しく、実質アクティブなメンバーは6割程度にとどまったという実感です。
なぜそうなったのか?
上記のような差がでた要因として、私は
具体的な成果の提示と個々人の合意
で差がついたと思います。当たり前じゃないかと言われてしまうと思いますが、この「具体性のある成果」と「合意」がとても難しいのです。最初に「やります」といったメンバーも、様々な理由で活動を継続できなくなることがあります。人間ですから途中で気が変わったり、モチベーションが低下したり、家庭や仕事の事情で継続ができなくなったり、人それぞれで様々です。
様々な要因で活動継続が難しそうになった際に、拠り所となるのが「具体的な成果」です。メンバーはこの成果を達成したいために活動に参加しているとも言えます。もしこの成果に具体性が乏しかったらどうなるでしょうか。成果へのコミットが得られず、外的要因で活動継続が難しくなったらメンバーは離脱をしていってしまいます。
書籍の執筆では、実際に自分が書いて執筆メンバーとして名前の載る書籍が出版され、書店に平積みになるという「メンバーにとってイメージしやすい成果」が提示・浸透できていました。
一方、研究会の運営では、「リーダーシップ」という目標は全員で考えて出したものの、具体性がなく個々人を動かすエンジンとは成り得なかったように思います。
どうすればよかったのか
個々人が納得する成果・メリットの捻出(出来れば個々人で考えてもらう)と合意に時間をかければよかったと思っています。よく、「組織のために頑張るのは当たり前だろう」という人がいますが、僕はそうは思いません(思わなくなった、という方が適切な表現です)。結局のところ人間が動く原動力は「自分にとってメリットがあるかどうか」だと思います。
マッキンゼーでコンサルタントの採用に長年携わった伊賀泰代さんの「採用基準」という著書に、興味深いことが書いてありました。
日本人は大変個人主義的である。日本の社会では、小学生から大学生までの成績は全て個人の成績で決められ、就職してからも管理職以外は個人業績でしか評価されないから。一方アメリカでは、チームで出した成果やチームの中での立ち位置、自分の発揮したリーダーシップについて細かく問われる。
納得をしてしまいました。日本人の言う「組織のために」という言葉がいかに薄っぺらいか。つまり、「これは組織のためだから」といって成果を提示しても、個々人は合意をしない可能性が高いということです。
ですから、個々人が、個人としての目標を立ててそれに納得をするまで時間をかけなければいけなかった、というのが反省事項です。
その他得られた気付き
その他に得られた気付きとしては、脱落する人が出ることも想定しないといけないということがあります。脱落者はなるべく出ないようにするべきだとは思いますが、脱落自体を悪だと考えてしまうとチーム内に遺恨が残ります。脱落者が出てしまうことはリーダーの責任であるし、どうしても脱落せざるを得ない事情であれば、遺恨を残さないようにリーダーが責任をもって処理したほうがいいでしょう。
※全員が同じ方向を向いているチームでは、脱落してもそこをカバーできるメンバーの意識や体制が醸成されていますが、ぶっちゃけそんなチームを作るの至難の業です。自分を含む凡人がそこを目指すと宗教じみた集団になり、極端な考え方のまま走って自浄作用が効かない組織が出来上がることでしょう。
働き方改革でリモートワークが今後もどんどん増えてくると思います。そうなってくると、一体感やビジョンの浸透などが非常に難しくなってきます。この部分に対していかに心血を注げるかが、これからのリーダーの最も力を入れなければいけない部分となるでしょう。
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