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出版不況と言われている今日、異例のヒットを飛ばしているビジネス書があります。
それが「ティール組織」。
会社だけでなく人が集まれば組織が形成され、その組織の数だけ異なったルールや風土、文化が形作られます。さまざまな組織の形がある中、21世紀の現代に目覚しい成長を遂げている組織には上記した特徴とは全く違うある特徴があることがわかってきました。
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本書の成り立ち/ターゲット読者
著者であるフレデリック・ラルーは、マッキンゼーで10年以上にわたり組織変革に携わったのちに独立。2年半にわたって新しい組織モデルについて調査・研究を行い、本書を執筆しました。ですから、昔の研究や実験に基づいて書かれたものではなく、今、目の前にある現実に即して描かれています。その意味で、非常に現代的でホットな書籍なのです。
ティール組織を簡単に表現するとどうなるのか?
これは私の独自解釈ですが、ティール組織を一言で表現すると
「個々人が自律的に意思決定を行いつつ全員が同じ方向に向いている組織」
という感じでしょうか。個々人が自律的に意思決定を行うという点が一番のポイントです。
個々人が意思決定を行うので、当然組織の階層構造は存在しません。強いて言うなら一人ひとりの守備範囲が広く守備範囲の輪が重なって繋がり合っているイメージでしょうか。
ティール組織の根底にある考え方は?
本書では、ティールの根底にある考え方をティールパラダイムとし、以下のように記載されています。
ティールパラダイムでは、内面の正しさを求める旅と、自分が何者で、人生の目的は何か、という内省に駆り立てられる。人生の究極の目的は成功したり愛されたりすることではなく、自分自身の本当の姿を表現し、本当に自分らしい自分になるまで生き、生まれながらに持っている才能や使命感を尊重し、人類やこの世界の役に立つことなのだ(P.76)
一方、ティール以外の組織(ここでは話を簡単にするためにティール以外でまとめます)では、自分の内面ではなく、自分以外のところに重点が置かれます。組織の規律や組織構造、意思決定ルールなどがそれにあたります。
それら外的なものではなく、自分自身の根底にある人生の究極の目的や使命に真に従って行動することこそがティールのパラダイムであるとのこと。
こう書いてしまうと、自己のやりたいようにやるのがティールのパラダイムのように見えますが、そうではありません。最後にこう書いてあります「人類やこの世界の役に立つことなのだ」と。つまり、自分自身の中から湧き上がる、使命感をもって、人類や社会に貢献していくことが必要なんですね。
そして、そのような人たちが集まって作られるのがティール組織というわけです。
ティールパラダイムを組織に当てはめるには?
ティールパラダイムは大枠わかったとして、その源流の考えを持った人たちが集まればティール組織ができあがって機能するのかというと、そう簡単には行きません。
ティールパラダイムが個々人にフォーカスしたものであっても、これが「組織」になると多少なりともルールのようなものが出てきます。しかし、それは文書によって規定されたり、誰かが強権的に決めるものではなく、「組織の目的にを達成するために必要だと現場メンバーが協議して作るもの」なのです。
本書には書かれていませんが、私は、そこには圧倒的な個々人への信頼が欠かせないと考えます。
圧倒的な個々人への信頼があるからこそ、彼らが考える組織のルールも合理的であり、変化に強く、個々人にも責任感が自然と芽生えるものになるのであろうと思うわけです。
どうやってティール組織を作るのか?
さて、ティール組織、どうやって作るのでしょう?
これはまだ様々な企業が試行錯誤、研究を繰り返している段階ですが、日本国内ですと「よなよなエール」で有名になった、星野リゾート傘下のヤッホーブルーイングが一番近いように思います。
↓こちらにヤッホーブルーイングの取り組みが欠かれていますので参考までにご覧ください。
ヤッホーとアトラシアンに学ぶ「チーム作り」の極意
ティールという単語は出てきませんが、イメージは湧くかと思います。
その他、サイボウズの青野社長が、ティール組織研究者の嘉村賢州さんと何回も対談をすることでサイボウズにティールを浸透させようと試みています。
ティール組織が正しいわけではない。ありたい姿でいられて、仕事をいいわけにしない組織は強い
本書にはティールを実現しているたくさんの企業事例が出てきます。一つ一つの具体例を読み解くことで、ティールの考え方、組織のあり方を具体的に学ぶことができます。
560ページ超とかなり骨太な本ですが、本書を読んでいるのといないのとでは、会社組織に対する理解が全く変わってきます。ぜひ手にとってみてください。
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